四畳半

ミッシングの四畳半のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.8
劇場で鑑賞

生殺しのような状態が永遠に続く地獄体験。
これ以上ないほどシリアスなんだけど極限状態だからこそ生まれるユーモアに思わず笑ってしまう瞬間も多くて、感情を上下左右にぶん回され続ける。
誰もが罪悪感を抱えながらもその向き合い方は千差万別で、その人間臭さが生々しくリアルで何故か温かい。

主演の石原さとみさん、あの振り切った演技テンションを一瞬も崩すことなく2時間ぶっ通しで維持し続けていて、改めて凄まじい役者だなと感服しました。
脇を固めるキャラクターも完璧。
母親が過度にヒステリックに見え過ぎないよう絶妙なバランス調整がされているように感じた。

この手の話を一人も明確な悪人を作らずに語り切るのは地味に凄いことですよ。
母親も父親も叔父もマスコミも誰も彼も、一概に善人悪人と区別することができない複雑な内面のキャラクター達でした。
オリジナル脚本でここまで多層的な血の通った人間を描ける吉田恵輔監督、末恐ろしい。

あと今作、森優作に泣いた。
俳優デビュー作の『野火』をも上回るベストアクトでした。
四畳半

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