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ミッシングののーのーのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
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話のつらさが(オススメとしての誇張表現では決してなくて)ちょっと度を越してる。こういう状況の人が現実にいるということを考えると、少なくとも僕はこの映画を観て「優しい気持ちになる」「救いがある」とかいう感想を持つことは全くできない。「傷ついた」という感想すらおこがましいかもしれないと思ってしまう。
驚くほどリアリティのある人物描写や演技がある一方で、テーマの描き方として問題点も多々あるんじゃないかと感じた。特に母親が罪悪感を持っている内容については、作品内で「それ自体は悪いことではない」という第三者からのフォローが絶対に必要だったのではと思う。
𠮷田恵輔監督の作風は、描かれていること自体の幅や豊かさはものすごいけれど、描かれていないことに思考を促すタイプのつくりではなくて、それと今回の題材との間で食い合わせの危うさが起こっている気がした。
この作品や描かれていることに対して俯瞰したり冷めた態度でいられる人がいるということも含めて、ショックの強すぎる映画だった。でもあまりにこういうことに真正面から感情移入しすぎると生きていけなくなるので、そういう受け止め方も適切な心の働きなのかもしれない。
(楽しむための)映画としては良し悪しとかの次元ではなく人にオススメしたくないけど、自分にとっては観なかった方がよかった映画だとは思えない。
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