ユウト

ミッシングのユウトのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
5.0
ちいさい者を置いて家をあけるのは怖い。
空調や水分、安全を確認しても怖い。
食料や日用品を買い物に少し家をあけるだけなのに怖い。
もし何があったら責任は自分にある。
自分に何が起こるのなら対処もできるが、
ちいさい者を守れなかったら。
その恐怖でいたたまれない。
家に着き気配に安心して、恐怖の緊張がとける。
ちいさい者の笑顔に、恐怖が幸せにかわる。

元ヤンでダンナに八つ当たりするヒステリーの母親に嫌悪したが後半、
僕は母親に同化していた。
終盤、街頭で背を丸めて泣く父親に僕は椅子から落ちそうになった。

どうしたらいいのだろうか。
この人間模様の中で、どう生きたらいいのだろうか。
悲しみの底で苦しむ人に平気で誹謗中傷する者共。
事実を報道すると言いながら視聴率を目安にするマスコミ。
人は性善説で生きているといいながら、優しさや慈悲は
どこにあるのだろうか。
吉田監督、問題提起で掻き回して、
観客である僕は失意から立ち直れません。

家にある気配。
愛おしい気配。
愛する者の、クセや仕草。
ラストシーンの石原さとみさんのように僕も空を見る。
ユウト

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