kana

ミッシングのkanaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
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心揺さぶられ抉られた。

これでもかと突きつけられるあまりにも残酷で辛い現実。

同情や好奇心ゆえに生まれる小さな悪意、匿名だからと好き勝手な憶測と心無い誹謗中傷を繰り返すネット社会、至る所に悪がはびこる不安定で壊れてしまった世界になにを思い、どう生きるのか。

登場人物それぞれの言動、心に抱えた感情に人間の弱さ、強さ、優しさを見た。

最後、虹がかかる娘の頭を影越しで撫でるシーン、そして交差点。ずっと先の見えない暗い世界でもがいていた沙織里に射した、小さくて微かだけど、確かな光に私は救われた。

鑑賞中苦しすぎてもう見ていられないとさえ思ったし、逃げ出したくなった。この感覚は『空白』以来かもしれない。

石原さとみの凄まじい熱量の演技、それを受け止め返し切る俳優さんたち、本当に素晴らしかった。特に夫を演じられた青木崇高さんの、ホテルの喫煙所で目に涙を浮かべながら煙草を吸うシーンが焼き付いて離れない。

映画館で観られて本当に良かった。

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