失踪した娘を探したいという母親の強い思いとは裏腹に、まわりの登場人物たちの温度感は様々、そのギャップによる行き場の無い感情の爆発を観続けるのがとにかくキツかった。
娘への思いが強すぎるあまり、感情が先行して冷静な判断を下せず、暴走気味で周囲との軋轢がどんどん広がっていく石原さとみ扮する沙織里の姿に、最初は同情できてたのに、いつの間にか複雑な思いを抱くようになっていた。
こういう事件は当事者からすれば、ずっと終りが無く、その熱は冷めることも無いけれど、残念ながら無関係の人たちにとってはだんだん関心が薄れていくものだということを改めて思い知らされる。
そして、事件に飽きたマスコミがよりドラマチックにスキャンダラスに脚色して報道し、当事者たちは誹謗中傷の的へ。
悪意のある報道と、被害者のスネに少しでも傷があれば、そこだけを徹底的に叩くようになるネットの無責任なコメント。
普通の人なら気にも止められない出来事も、炎上の引き金になる。
煙のないところに火を付ける人まででてきて観ていてウンザリした。
でもこれ以上無いほどその描写がリアルであると同時に、これが現実にも起こりうることを再認識させられて観終わる頃にはグロッキーになってた。
何より、石原さとみが凄すぎる。
あんなに急転直下で感情が入れ替わる主人公を違和感無く演じ切ってて本当に素晴らしかった。
