「フィクションで良かった」と思いつつ、現実には同じような境遇に陥った親御さんは何組もいるはずで、やはりどうしたってつらい。喜怒哀楽のうち、怒りと哀しみしかないような映画で、やるせなさともどかしさ、そして静かに確かに進行していくネット社会の狂気と、少しずつ転落していく情緒と倫理。その中であがこうとするテレビ記者もまたつらいものである。ここまでヤダ味を描けるのは相変わらず凄い演出力だよなと驚嘆しつつ、このある意味嫌なものをみせつけるポルノ作劇はどこかで芸として落とし前をつけて、こればっかりにならないようにしてほしい、と余計なお世話を考えてしまう。
母親がほんの少しだけ世界に目を向け、ほんの少しだけ成長(というか自分を許す?)するのがせめてもの救いか。そうだよな、この落とし所しかないよな、と膝を打ちつつ、次はこの芸の先を観たい。