kako

ミッシングのkakoのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.8
ずっと最悪だった。最悪すぎて、違うこと考えてしまうくらい、違うことを考えないと耐えられないくらい最悪だった。

吉田恵輔監督の作品を観たのは、
ヒメアノ〜ル、空白、神は見返りを求めるに続いて4作目。どれも最良の鬱だったけど、今回は最大に最良な鬱だった。是枝監督が描く鬱とは違う鬱。(前提としてどちらもいい)

信じたい妻と諦めたい夫
感情的な妻と冷静な夫

情緒的に不安定な石原さとみを見続けて、ずっと辛かった。


弟は、きっと心に傷を負っていて、
それを救えてたら、もっとちゃんと自己表現ができて助けを求められる人だったら
もっと違う結果になったのかなって思ってしまう。

映画を観ただけでは、どう頑張っても、「え?弟?見たことを見たまま言いなよ???」て思うけど、実際には上手くいかないんだろうなって。それがもどかしくて辛くて。



報道の事実自体が面白いって、間違いないなあと思った。人は好き勝手に解釈して、好き勝手に言うから。そのネタが事実なのは間違いない。ただ事実を報道していても、それを解釈する側が面白がるんだよな。



フィクションなのに、絶対にどこかにある物語で、実際に行方不明事件が報道されても、どうせ自分には関係ないと考えてる。それが結局世間の全てだし、この作品が、被害者側が感じていることの一部だと思う。


多くの人が見て見ぬ振りをして、面白がるけれど、それも社会で、現実で、どうしようもないことが突きつけられていて、苦しかった。自分も知らない側だということを自覚しながら、当事者の気持ちを理解しようとする、それもそれで気持ち悪くて、無礼だとも思う。
寄り添うってなんだろう、理解するってなんだろう。全て他人事で、全て人任せで、全てちょっと嘘で。
全てわかるなんて無理だし、この世に起こっているすべての事象に興味を持つことも無理だし、ずっと優しくいることすら困難なこの世の中だけど、
せめて、自分の大切な人を守れますように。
kako

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