たけうち

ミッシングのたけうちのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

『空白』の空白を埋めるような作品。

マスメディア(主にテレビ)を民意を扇動する媒体としか描いていなかったのが、本作では報道する側の葛藤が描かれている。
監督がただテレビを嫌っているわけではなくて良かった。

『空白』では「娘の死」という乗り越えなければならない、受け入れなければならない壁が明白だが、本作では美羽ちゃんの行方が分からない限り無限に続く地獄、どこかで生きているかもしれないという不確定の微かな光にすがりながら生きていくしかない。そういう意味では別の地獄だと思った。
一方でテーマは似ていて、どう気持ちの落とし所を見つけるのか、前を向くのか。これに対しては本作の方が難しいと感じるが、ラストは納得できる終わり方になっていた。

テレビの反応を映し出すのがインターネットで、描き方としては誇張なし、むしろ和らげているとさえ感じるほど昨今は狂っている。
「事実が面白い」というセリフがあったが、事実を面白がる人間が世の中には大勢いると解釈した。その層に都合がいいように報道するのか、信念を持ってするのか、いままさに問うたように思う。

今までの石原さとみからは考えられない演技で豹変といっても過言ではない。
これからこの路線で行くのかは分からないが、続けると死んでしまうのではないかと思ってしまう程真に迫っていた。
青木崇高は良心。

弟さんについても書きたかったが疲れたため終。
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