菩薩

ぼくたちの哲学教室の菩薩のレビュー・感想・評価

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)
-
暴力の怨嗟は続き薬物が蔓延る街で培われていく生きていく為の技術、それは殴られたら殴り返せでは無くひたすら思索を続け大人に頼り常に解決策を見つけよと言う事。ただ逆の頬を差し出すだけでは無く自分の頭で考え言葉にし、分断と衝突の時代だからこそ相手の側に立ち、時には視点を変え、なぜ、どうすればを考え抜く、それが振り上げた拳を収める事に繋がっていく。殴られたら殴り返さねば生きてこられなかった父親達の時代からの転換、あの日々に戻らない為に、例え子供同士のじゃれ合いが発展してしまったが為の些細な小競り合いすら見逃さず、自分の加害性との対峙を教え込んでいく。子供達の孤独や不安に徹底的に寄り添っていく姿勢、問題を抱え悲しげな顔で教師と向き合う子供達の顔が最後には笑顔で満ち、意気揚々と教室へと帰っていく。繰り返し、何度だって、丹念に、その時間と労力が割ければ…と悩める現場の教育者はきっと多いのでは、何故まず「待遇を上げる」から着手せんのだ文科省…(関係ない)。殴られた痛みより殴ってしまった加害性に傷付き涙する男の子、この子達が大人になる頃には、あの壁も必要性を消失しているかもと希望を抱ける豊かな教育ドキュメンタリー。本当Twitterの不毛な争いに時間溶かしてる場合じゃないですよ大人達…。
菩薩

菩薩