ラジオ子ちゃん

ぼくたちの哲学教室のラジオ子ちゃんのレビュー・感想・評価

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)
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起こったことは、どんなに小さなことでも無かったことにしない。
言葉にしたことを無駄だったと思わせない。
そのために大人が問う、聞く姿勢を持つ。
自分たちの気持ちを話す場を積極的に設ける。

先日観た『大人は判ってくれない』が、想像を絶するほど、大人が判ってくれない男子校のお話だったので
今回の実在のホーリークロス男子小学校には感心した。

言葉にしたことは良くも悪くも影響を及ぼす、ということを体験してもらうのは大切だと思う。
ロックダウン中、子供たちはインターネットが
生活の大部分を占めていたようで、
オンラインで受けた誹謗中傷について
話し合う時間もきちんと設けられていた。
誹謗中傷してしまう人は、自身の影響力を信じていないんだと思う。
声を聞いてもらえなかったり、無かったことにされた人たちなのではないかと思った。

北アイルランドの青少年の自殺率は、紛争終戦後も増えているのだそう。
実際に卒業生の葬儀に参列する場面もある。
街には麻薬の売人に対しての憎しみの壁画も。
そう言った意味でも、暴力は連鎖して終わらない。

感情をコントロールする方法を学び、自分で考える力を身につけるトレーニングをして
たくさんの対話の場面を体験した彼らの未来が明るくあってほしいと思う。
これから先の何かの場面で、そのコントロールの術が少しでも彼らにかかるプレッシャーを軽くしてくれたらと願わずにはいられない。
そんな彼らが今後対話する相手になるのは、若い世代だけでなく、傷ついた親や祖父の世代でもあると思うから。