前作の上映時にお話しする機会を得て、それ以来折りに触れてお付き合いさせていただいている岸本景子さんの新作。
「折りに触れて」って、岸本さんは本田孝義さんや宮崎大佑さんといった、私が大好きな作家さんのクルーとして絶妙なタイミングで撮影に参加しておられて、ほんといかにも「折りに触れて」的に切れ目なくお話ししてきた感じがしている。
今回の上映関連で岸本さんについて紹介するパネル展示(とても濃くて結構センシティブな内容でもあった)も拝見することができてどんどん彼女と繋がりが深くなっていく(ま、こちらの勝手な思い込みなのだけれど)雰囲気で。
そして極め付けは脚本の堤健介さんと知り合えたこと。別の映画館で小沢まゆさんの小品『夜のスカート』を拝見していたら、なんと堤さんご本人に声をかけられて。
小沢さんの映画、監督は小谷忠典さんで、堤さんは彼のお弟子さん。『夜の』でも小谷さんと一緒に脚本を書いておられて。
そこでの話は小沢さんには申し訳ないけど「岸本映画」一辺倒。
で、堤さんはTwitterで『家族の肖像』脚本には『ついていく父親』芹沢俊介(新潮2000年刊)っていうテキストがあると仰る。
そこで、芹沢読み始めたら、そこから鶴見俊輔『教育再定義への試み』に繋がって、と。もう無限の繋がりが生む快感はキリがないのですよ。
嗚呼、ダイナミックかつ流麗な四月の興奮を岸本景子さんが導いてくださったのだと思うしかない。
作品のこと、ちょっとだけ触れておくと、20年前に失踪した父の死を知らされ、嫌々ながら後片付けをする息子と交錯するもう一人の「息子」。親子関係の再構築を、思いっきり演劇テイストで描く優しい映画です。
岸本さんは何かにつけて「ご縁をいただいて」という枕詞で話を始められる方。「縁」によって繋がることども、その繋がりが常にほんの少しでもプラスの繋がりとして再生していく、実はそこにはとてつもなく強固な岸本さんの意思が働いているのだろうな、と改めて感じています。