ピアノ演奏者の南はジャズピアニストを目指しており、恩師の勧めで銀座のキャバレーでピアノを演奏していた。すると、服役明けのヤクザがゴッドファーザーを弾いてくれと声をかけてきた。リクエストに答えて弾いてしまうが、その曲はヤクザの親分が指定した演奏者しか弾いてはいけないルールがあった。
その後、逃げ切った南は、同じ師を持つ姉貴分がコンマスを務めるクラブで働き始め、頭角を表していく。
ゴットファーザーを弾いてはいけないという謎のルールからコメディーとして始まるが、クラブの演者は自我が認められず、インテリア扱いされる境遇の中で、自分の目標とのずれに葛藤する様が重点的に描かれる。
さらに、恩師の言葉の意味を求めて演奏を極めていくと、ゾーンに入り、死んだ恩師が見えたりなどする様になる。映画の語り方も、過去と現在が交互に描かれている為、真実がフィクションか、観客側も判断ができなくなってしまう。
そして最後は、とあるビルとビルの間の不思議な空間に入り込んでしまう。インターステラーやララランドを連想するエンディングに感動は免れなかった。