MasterYu

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩のMasterYuのレビュー・感想・評価

3.2
1939年、ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ)。
ユダヤ人家族が住む母屋に、ウクライナ人とポーランド人の家族がそれぞれ引っ越してきた。
はじめはギクシャクしていたが、子供たちの無垢な姿勢と歌声が、やがて彼らの関係を変えていく。
しかしソ連による侵攻で、ポーランド人家族の両親はいなくなり、その後ナチスによる侵攻時にはユダヤ人家族の両親が連れ去られた。
ウクライナ人の母ソフィアは、自分の娘と両親を失ってしまった子供たちを命懸けで守ろうとするのだが・・・。

今現在もロシアによるウクライナ侵攻は続いていますが、この侵攻が始まるより前の2021年に本作が作られたのは、何かの予兆だったのでしょうか?
第2次大戦時、ソ連、ナチスに侵攻されたポーランド、ウクライナにおける理不尽な出来事の数々。
それがこの現代にも繋がっていると思うと、心がめちゃくちゃざわつきます。

人種が違う3つの家族が協力し合って生き延びていく、という話を想定していましたが、ポーランド人の両親、ユダヤ人の両親が結構早い段階で退場してしまい、ウクライナ人の両親が残された子供たちを守っていくという話が大半を占める構成。
人種は違えど姉妹のように暮らす子供たち、それを必死で守るウクライナ人両親のソフィアとミハイロ。
その構図はとても良かった。
ただ展開が同じパターンの繰り返しという感じだったので、そこの尺は短くして、できれば終戦後生き延びた子供たちが大人になっていく過程をもう少し見せてもらいたかったかなぁなどと思いました。

兎にも角にも「今」だからこそ、この作品を観る意味があるのかもしれませんね。
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