くさむすび

きっと、それは愛じゃないのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

興味深い内容ではある。宗教的価値観に基づいて行われる見合い結婚。カズの妹に対する最初の家族の反応を見て、何が「近代的な家族」だよと彼の母親が自ら謳っていたフレーズに苛立ちを覚えつつも、全てを曝け出し自然と"受け入れる"選択をした一家の態度は良かった。宗教的だとか慣習だとか、守るものは守りつつも中に含まれた時代遅れのそういったものを吹き飛ばすのが今の時代であることを映す。ゾーイの設定がドキュメンタリー映画監督であるのも頭良いなと感じて、終盤キーとなる"演技"というワードと呼応している。当事者は納得いっていないけど、一方で感動してる人もいるみたいなドキュメンタリーの加害性にも向き合っている。
ただ主人公が最後に下す決断が気に入らなかった。二人が歩んできた過程を少しでも見せていたら魅力的なラブストーリーとして機能していたと思うが、彼女がカズに対して抱いていた思いの重みが感じられない。ファーストキスの匂わせや、「結婚しないでほしい」という文面くらいでは弱く感じる。あの決断をしないからこそ、劇中で深掘りしない演出をしていたと思っていたので残念。
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