このレビューはネタバレを含みます
ただの恋愛映画としてみるのはいいかもしれないが、白人が作った映画感が強かった。
ムスリムの文化や宗教観を、自由恋愛至上主義を主張するために利用した感が強い。
最初にゾーイがプロデューサーに「名誉殺人などの暗い映画ではなく、もっとポップで明るいやつを…」と言われて映画を作っていることを、ただのロマンティック・コメディになってしまった映画全体を通して皮肉として伝えているなら面白いと思う。
が、自由恋愛の結果クズばかり当たるゾーイを責めるシーンなど、自由恋愛の難しさを語るシーンもあったが、結局は、白人が「親の決めた結婚に愛はない、自由恋愛こそ至上」というメッセージを送っている映画だったように感じる。
名誉殺殺人や、「本当の愛」を求めたくても求めることすら許されない人、文化や宗教と自由の間で身動きが取れなくなってしまっている人、宗教間の戦争が起きている、という現実を全て無視して理想論だけ語った映画のように感じた。
他人の宗教や文化に土足で踏み入れ、それに気付いていないゾーイの母の描写などはよくいる親世代を揶揄しているようで良かった。