かえたろ

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のかえたろのレビュー・感想・評価

5.0
本を読み進めている感覚で進む物語。
私こういうの苦手なんだよなと思いつつ、見せ方が上手で、うまくできていて、カラフルで最後まで見てしまった。
作品時間が短いのも大いに手助けしてくれた。

少しバカバカしいなと思ったけれど、「邪念を抱かずに集中できるのは数秒」だと言うので見終わった後にやってみた。本当に難しかった。
どうしても周りの声が入ってくる。初めて試みたとき、昼休みどきだったからとても騒がしかった。他部署の仕事の進捗状況、隣の人の咀嚼音、旦那の愚痴。
難しい。最愛の人は母にした。それにしても母の顔を細部まで思い出し続けるのに苦労した。
その後、仕事の合間合間、息抜きのついでに集中してみる。
一種の瞑想のようなものだと思った。心がスッキリする。目の前のことに対して例えば面倒だなとかマイナスなことが思い浮かばなくなった。
これを続ければ私もお金持ちに、とはならなかったし目指してもいないのだが、追体験できたようで嬉しかった。
まだ3日目だが、なんだか心が落ち着かない時は空想のろうそくを灯し、母の顔を思い浮かべる。
まだ耳には雑踏が入ってくるが、この騒がしい日々の交わりこそがワンダフルだと気づいた。
かえたろ

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