色調や世界側がウェス・アンダーソンそのもの。たぶん伏せられて観てもわかったんだろうなあと思います。
ドロステ効果的に作中作の作中作の作中作みたいな感じで話が深掘りされていき、夢っぽいわけのわからなさが増幅されます。しかもほぼ全編が、登場人物がこちら側に早口で語りかける説明ですすむため40分に対して内容はつめつめな感じ。
原作ありきの映像化ということなのでなるほど割り切った演出だなあと思いつつ、一歩間違えるとただのあらすじ解説動画みたいになるので、映像美と舞台転換演出で場面をシームレスにつなげることに長けたウェス・アンダーソンだからできる荒技かもしれないですね。自分の長所も把握して発揮できるクレバーな人なんだなーという印象が加わりました。
一方、展開の起伏やキャラの魅力をそこまで感じられず、残念ながらお話の内容はほぼ残ってないのですが、多分原作知ったうえで観るのが正解の類のものなのかもしれないですね。
なんとなくウェス作品全部はまるのもおかしな話なんだろうなーという印象があるので今回はまあ、といった感じでした。