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キングダム エクソダス〈脱出〉のsonozyのレビュー・感想・評価

4.5
デンマークのラース・フォン・トリアー監督のホラードラマシリーズ『英題The Kingdom(原題 Riget)』。
1994年『The Kingdom』(4話)、1997年『The Kingdom 2』(4話)から25年を経ての3rdシーズンとなるのがこの『The Kingdom: Exodus』(5話)。フォン・トリアー監督がパーキンソン病を患いながら完成させたという。

原題『Riget』はスウェーデンとの国境寄りに実在するデンマーク最大の国立病院「Rigshospitalet」の呼称で、Riget=英語のKingdom(王国)のようです。
この病院の脳神経外科病棟が舞台。

夢遊病の老女カレン(ボディル・ヨルゲンセン)が夢でLittle Brotherが溺れているという声を聞き、病院Rigetへ導かれる。
Little Brotherとは?病院のどこかにいるのか? カレンの役割とは?

そして、もう1人の主役、この病院に勤めていた亡き父スティグ・ヘルマーの息子スウェーデン医師のヘルマーJr(ミカエル・パーシュブラント)が着任。
ポントピダンという医師(マッツ・ミケルセンの兄ラース・ミケルセン)を始め、気性の荒いネイバー、タケコプターみたいなキャップ被るキックボード男、ソリテアしかやってない理事長といったクセ強の面々たち。

IKEAやVOLVOがらみのネタを始め、デンマーク vs スウェーデンがそこかしこに。笑
デンマーク(人)を軽蔑している役どころのヘルマーには次々と「Danskjävlar!」≒デンマーク野郎!(くそったれ)!な事態が巻き起こる。

ウィレム・デフォーとウド・キアも重要な役どころで登場します。

ネズミやフクロウ、リモコン、鍵、コイン、ジグソーパズル、瓶に入ったアレ...などのアイテムや、各話お決まりの冒頭(病院が建つ前の土地についての話)と、ラストは赤いカーテンに靴だけ見える監督のトークなども含め、『ツイン・ピークス』的なオカルティックな世界もあるものの、登場人物のキャラ/言動が面白すぎて、笑いのツボも多数です。

ヘルマーは着任するなりオフィスに届いてたIKEAを組み立てなきゃならないし、車で通勤する度にVOLVOのホイールキャップを外して持ち歩くし(デンマークの悪ガキに盗まれないように)、特に彼に接近するアンナとのアレコレは爆笑もの。
ポントピダンは、枕代わりにしてるアレとか、避けてるのにどうしても会っちゃう女性とか、オープンドアポリシー掲げてるのに自分の部屋は鍵が複数とか。
スウェーデン人スタッフのみの集まりでの奇妙な握手、廃人の役員たちも集まる会議...etcあげればきりがない。笑

また、ちょくちょく挿入される、食器洗いを続ける早老症の俳優(Jasper Sørensen)と、皿を掴んでは落とし割るコンパニオン・ロボットがストーリーの補足説明的な会話をするシーンもユニークです。

過去作は未見ですが、かなり楽しめました。
以下の5話となってます。
1. Halmar
2. The Congress Dances
3. Big Brother
4. Barbarossa
5. Exodus

全作、日本公開が決まったようですが、『The Kingdom』(4話)、『The Kingdom 2』(4話)、本作(5話)で合計9時間21分を映画館で観るのは大変そう。。

#mubi (US)
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