EDDIE

FLY!/フライ!のEDDIEのレビュー・感想・評価

FLY!/フライ!(2023年製作の映画)
5.0
「可愛い鳥には旅をさせろ」
生まれ育った池しか知らぬカモ一家が羽ばたき外の世界へ。幾多の苦難を乗り越え家族の絆を確かめ合う模様が良い。個性豊かで飽きのこないキャラの配置、鳥目線で見た社会の厳しさやアニメーション表現が実に楽しい。

いやぁ最高でした!
2024年は質の高い作品が続き、いくつか年ベス級の作品には出会えているものの、迷うことなく「年間ベスト」と言い切ったのは初めてかもしれません。
しかも僕はあまりアニメ映画を多く観るタイプではないので、なおさらこの感覚は初めてに近いです。

家族で最も保守的な父カモが未来に恐れをなして決意したり、認められることで一気に逞しくなったり、母カモのポジティブ思考が生活に好影響を及ぼす模様がわかりやすくて良いですね。
最初はキュートすぎる妹カモの陰に隠れながらも最も成長と覚醒を見せた兄カモがこれまた最高。最強のカモ家族でした。

父カモを除き、家族みんなが外の世界に羽ばたきたいのに、家長が反対すれば勝手なことはできないんですよね。
物事や日々の出来事は妥協でできていることを暗示しています。
明るい未来を示すより、来てほしくない悍ましい未来を見せた方がヒト(カモ)は行動しやすいのだと解釈できました。
にしても健気な妹カモがずっと可愛くて癒しMAX。

個人的に地味な推しポイントはカモの夫婦、息子娘だけでなく、もう暗い未来が決まっているかのような年老いたダンおじさんも無視しなかったこと。
希望さえあれば年齢は関係ない、一緒に笑い合える同士がいれば人生は明るい、ダンおじさんにも活躍の場があるのも嬉しかったですね。

今回吹替で観たんですけど、みんなめっちゃ良かったです!
主要キャラは父を堺雅人、母を麻生久美子、息子を『怪物』子役の黒川想矢くん、そして妹はホンマに子供の池村碧彩ちゃん!
あんなあざといボイスアクトできるって凄くね?プロの声優が子供っぽく演技してるかと思いましたよ。末恐ろしい。

そして序盤で少しだけ野沢雅子がボイスアクトしてるキャラが登場して、やっぱ上手いよなぁと感心しながら悟空を想起して鳥山明さん思い浮かべてそこで涙しました。
ってかこの映画感動するシーンを無理矢理に入れ込んで泣かせに来るんじゃなくて、ちゃんとキャラが成長見せるからそれで涙腺やられるんですよ。マジで最高です。

あとはやっぱアニメーション表現の素晴らしさ。カモが主役だけあって水面の反射、光の使い方、波紋など、一つひとつの表現が丁寧だし、都会に降り立つシーンはイルミネーションだからこそなせる最高峰の業を見せてもらった感覚です。
劇場スクリーンで観られて良かった♪
また観たいなぁ。

ということで、翌日に池袋グランドシネマサンシャインのSCREEN Xで2回目を早速鑑賞。

もちろん『FLY!フライ!』は2回目も楽しめたんですが…SCREEN Xは初体験で、景色を楽しむようなシーンで横のスクリーンも使って景色を延長して見せるわけなんですが、だからといって…って感じでしたね。
スクリーンは元々作られたサイズがあるから正直それで十分って感じ。

ちなみに『FLY!フライ!』は排泄未遂映画であり、卵未遂映画。
卵未遂とは、卵は登場しないが鳥たちがヨガのポーズの一種で卵のポーズ、そこから殻を破る一連の動作があります。
まさにカモ一家が自分たちの殻を破り世界を知り成長していく模様を映しているといえます。

〈キャスト(声の出演)〉
マック(クメイル・ナンジアニ/堺雅人)
パム(エリザベス・バンクス/麻生久美子)
チャンプ(オークワフィナ/ヒコロヒー)
デルロイ(キーガン=マイケル・キー/関智一)
グーグー(デヴィッド・ミッチェル/鈴村健一)
エリン(キャロル・ケイン/野沢雅子)
ダックス(キャスパー・ジェニングス/黒川想矢)
グウェン(トレシ・ガザル/池村碧彩)
ダン(ダニー・デヴィート/羽佐間道夫)
キム(イザベラ・メルセード/芹澤優)

※2024年新作映画42本目
※2024年劇場鑑賞40本目
※2回目をSCREEN Xにて
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