車椅子のホームレスであるユージーンは母親と共に惨めな生活ながらも平和に暮らしていたが、ある時母親がチンピラどもに殺害される。それをきっかけにユージーンの頭のネジがぶっ飛びだす。敵討ちといっても地に足つけて暴れる野郎どもに車椅子人間がそもそも太刀打ちならないということもあり、難易度を下げて罪なき女性ばかりを殺害していく。しかもやたらと女性のエアロビクスのシーンが長い。何人も殺してつい仇を果たそうと、母親殺しのチンピラどもに復讐しようとするも見るも無惨に返り討ちにされて生首をゴミのように捨てられて終わる。

理想通りに事が進むと思ってる人が現実を思い知らされ、あっさりとその理想をぶち壊されて何事もなかったかのように忘れ去られるような恐ろしさを感じる。世界の片隅でゴミのように人生を終える人間を描いた『この世界の片隅で』。映画的なご都合主義から、ラスト一気に現実に引き戻される恐ろしい映画だった。