STAYGOLDぴあ映画生活

首のSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
2.5
浅草キッド
ーーーーーーーーーーーーーーー
みんな、アホやな。
キム兄の呟きが全て。
感想、以上。


……
………
…………そゆわけには、いかんか。

今回もそうだが、海外から見るとジャパニーズテイストに溢れる画は評価されるのだろう。それは良い。ネタも信長の最後に纏わる独自解釈。特に何も新しく無い。普通。キタノブルーもそれほど感じない。

あれほど恋焦がれた文化人の立ち位置、巨匠ビートたけしの姿は何処にも無い。目指した先には、そこには何も無かったか。映画番宣巡りのお車代100万だけを無心する銭ゲバ老人が、あの天才たけしの末路だとしたら哀しすぎる。たどり着いたら、いつも雨降り。

今作は、ただただ芸人ビートたけしの欲求不満、フラストレーションで出来ている。寄る年波には勝てず、滑舌も更に悪くなり、若い頃のキレも無い。お茶の間の表舞台からスポイルされ、分身たる弟子も育たず、結局一人。孤独老人になってしまった。

でも、それでも断ち切れぬ芸へのお笑いへの性。その苦しみが、この作品のそこかしこに転がっている。

断片的に紡がれる中途半端なお笑い。そこにいる相方は役者で愛想笑いしか返せない。ハコの真面目な映画マニヤのオーディエンスは、その琴線のひだが解らず、ただただ困惑するだけ。知識やブンガクで語れるほどお笑いは安くない。お笑いから文化は語れるが、文化人がお笑いを弄るのは難しい。マニヤな分衆の世界には無い何かなのだ。

あゝ、誰か引退やフェードアウトではなく、この首を取ってくれよと、巨匠の魂が泣き叫ぶ。戦国時代の印の様に、末路を示してくれよと。乱暴に扱ってくれよと。昔のオレみたいに。

この声無き断末魔は、誰かに届くのか。
映画の名を借りた究極の遺言。改めて見直すのも良いかと思う、が長すぎる。PVみたいなんで苦じゃ無いけど、やっぱ長いよ。誰か言ってあげなきゃ。

とはいえ、だから巨匠。誰も首にナワをかけられない。きっと、時間の魔術師が解決するのだろう。これも映画の世界、か。

いつだって答えは 遥か彼方にある
それが映画なのです

大事な何かを切り捨てて、たった一人で芸道にたゆたう。でも…

夢は捨てたと 言わないで

芸人ビートたけしよ、何処へゆく。

STAYGOLD@ぴあ映画生活