くさむすび

首のくさむすびのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.6
『みんな〜やってるか!』では"ビートたけし第1回監督作品"という触れ込みが使われていたが、それに準えるならば今作は北野武監督作ではなくビートたけし監督作と言って良いと思う。後半から笑いのシーンが多くなっていって、 清水宗治の切腹シーンや秀長の演技、安国寺恵瓊の顔芸などは笑いが止まらなくなるくらいに面白い。それ故に序盤も含め全編コメディフルスロットルで突っ走ってほしかったのが個人的に一番強い。「戦国版アウトレイジ」と呼ばれるだけあって各人の謀略が渦巻く戦国絵巻になっているが、そのスリリングな駆け引きも緊迫感が欠けていて弛緩しているように感じる。歴史上の有名な人物が多々出てくるので観客が補完すれば良いのかもしれないが、心理描写も不足していた。何かのインタビューで監督は「暴力の中の笑いを描いた」と言っていたが、その笑いも「黄色いクソ野郎め!」以外ハマれなかった。
と色々不満を書きましたが、2時間近く飽きずには楽しむことができた。今回はビートたけしとしての集大成だと思ったので、次回作は是非北野武としての集大成を見せてほしい。映画館の音響も効果的に運用されていて、大迫力の合戦や矢が突然飛び交ってくる場面などのアクションは素晴らしい。血みどろの切りつけ合いは爽快でした。曽呂利新左衛門に本職が芸人である木村祐一を当てているのも素晴らしい。
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