まぬままおま

首のまぬままおまのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.2
人生は壮大な茶番劇である。

首を獲って天下の大将になるために、皆が策略を企み、裏切り、殺し合い・戦をしているのに、首が何たるか、価値が分かっていない滑稽さ。

だからこそ徹底的に死をドラスティックに描き、個人の死を人生≒歴史の只中に還元していく。

あとはやはり戦=暴力の描き方である。
武士たちは戦=暴力を通して関係していく。その関係は生死を共にしているものだから、友や性愛的なものにもなっていくし、殺したいほど憎い敵にも転じる。そういう意味で好意と殺意は表裏一体なのである。それは太鼓のおもちゃの表象ー友敵の表裏関係もそれに含まれるーからもみてとれる。だから明智と荒木、明智と織田を同性愛関係として描写するのも納得である。

武将であっても百姓であっても死の前では等しく、また同じく殺し殺される。この刹那まで茶番劇を盛大に演じること、シニカルに笑ってみせること。それが生きるということなんだと思う。