強い

首の強いのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.2
北野武、構想30年!?
己がまだアンパンマンとか見ていた頃から北野武はこの命を命とも数えぬ地獄絵図男色映画を構想していたと思うとそれだけで胸が熱くなる。

まぁまぁ、首の飛ぶこと飛ぶこと……。
戦乱の時代、生命なんてあってないようなものである。ギャグ漫画に真理を突かれるようなもの。大河で見られない軍師官兵衛が、大河で見られない悩む家康が、全部見られるありがたい作品である。そら、そうなのよ。大河だって創作、正しい歴史なんて現代じゃあ誰も知らん。首なんて要らん、のかも。


――ここからは最早ただのオタクのレビューであるということを先に申し上げておきます――


俳優陣がまぁ豪華で。単品で使いたい日本男たちを軒並み起用して、抱いた抱かれたをやりつつバッツバツ首を落とす。
武の芝居はもう爺さんになってきたけれど、彼の頭の中は相変わらず私の神経に直に触れるような所がある。例え牙が丸くなっても、刀は研げば鋭いのだ。アドリブはかわいい。

コンテンポラリータップと白塗り、どエロとナチュラルな殺人、時代故の生命の軽さ、黒人の侍と体の白い部分。
毎朝NHKで見ている爽やかな副島くんの暴力なんてここでしか見られないのに!醜女に目が無い家康も、出てきてすぐに死ぬ柴田理恵もここでしか見られないのに!ああ、最高!!

……ああ、しかし、もうセックスにしか興味がない男色の信長なんて金輪際見られないんだろうな。衆道とはいえ、生まれてしまった西島とエンケンの愛の物語は金輪際見られないんだろう。悔しい。


激しい愛と血のエンタメ時代劇!
ジジイを集めてBLコメディとして成立させながら血みどろ時代劇をするたけしのこと、めちゃくちゃ贔屓しているのは分かっているが大好きである。
時代劇って楽しいんだよ、って教えてくれてありがとう。新しい解釈はいつだって楽しい。
『お前ら、一緒に死んでくんね?』


ここでこんなレビューは誰も待ってねえのは承知で大声を出させて頂きます。
エンケン!!!!!!!!!理想のド受け!!!!!!!!
強い

強い