NaokiAburatani

テノール! 人生はハーモニーのNaokiAburataniのレビュー・感想・評価

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冒頭だけ観たら何の映画なんかマジで分からん(笑)
会計士目指して専門学校?に通っているラップが趣味の主人公が寿司屋の出前のバイトでたまたま訪れたオペラ座の音楽学校の授業でエリート学生に馬鹿にされた腹いせにオペラ唄ったら女教師に才能を見出される、ていう情報量の暴力感が強いあらすじ。

出てくる登場人物がとにかく濃い。
喧嘩師の兄貴とか軍隊に入隊する幼馴染とか。
鼻持ちならないエリート学生の彼とか嫌味言ってるのかと思いきや普通に善意のアドバイスで笑った。話進むとどんどん良い奴になってくし。

フランスでも決闘罪あるんだな。留置所にいることを母親に悟られないようにするため日本の風景のポスターの前で兄貴がテレビ電話するシーンが爆笑もの。

起承転結の起である主人公がオペラ習い始めるまでの話は丁寧に描かれていたが、そこまで長くない上映時間に対して特訓やオペラを習うことを周囲に秘密にしていることの葛藤、幼馴染との関係、生活の変化、ラップバトル、兄貴の獄中生活、地区同士の抗争等とにかくエピソードが積み込まれすぎていて展開に緩急がなくて落ち着かなかった印象。それに一つ一つが若干薄味に感じた。
良く分からんパーティーでオペラ歌わされるシーンとか入れるくらいなら恩師である先生との絆を深める特訓や別れのシーンにもっと尺や力を入れて欲しかった。

まぁ、色々言ってはいるが、それ等全てを些細なことにする程とにかく主演を務めるヒューマンビートボクサーMB14のラップを含めた歌唱力が圧倒的過ぎた。
オペラを全く知らない自分ですらラストのオーディションシーンでの抜群な歌声に自然と涙が出た。歌上手すぎて泣くとか人生で初めての経験だった。
まぁ、あんな輩達が侵入してきた時点でオーディションは中止になりそうなもんだが‥
そんな野暮なことは言いっこなしで、歌唱シーンを大迫力の音響機器にて観るだけでも劇場に足を運ぶ価値が十二分にあると思える良作だった。
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