MasaichiYaguchi

石岡タローのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

石岡タロー(2023年製作の映画)
3.7
これまでに短編映画を多数手がけた石坂アツシ監督の初長編作品は、茨城県石岡市を舞台に、1匹の保護犬が飼い主を探す為に駅に通い続ける姿や、犬と人々との交流を、実話をもとに温かな眼差しで描いていく。
昭和39年、茨城県石岡市の東小学校で1匹の犬が保護される。
「タロー」と名付けられたその犬は、朝は校門で児童を出迎え、昼は1年生の教室を順番に回る等、その賢い行動ですっかり学校の人気者になる。
しかし、或る日からタローは石岡駅までの2キロの道のりを往復する日課を始めるようになる。
駅の待合室でじっと改札口を見詰め、しばらくすると駅を離れて再び小学校に戻る。
そんな行動を朝と夕方の1日2回、タローは毎日続けた。
駅の待合室でも駅前の商店街でも多くの人に可愛がられ、17年に亘って駅通いを続けたタローだったが、老犬となって体力が落ちていった。
飼い主の帰りを出迎えに行った忠犬というと、アメリカやロシアでも映画化された渋谷の忠犬ハチ公が余りにも有名だが、このハチ公より長く石岡駅に通っていたタローについては本作を通して初めて知った。
本作を観て、犬を飼いたくなる人が増えるような気がします。