キリエのうたのねこみみのネタバレレビュー・内容・結末

岩井俊二監督作品を他に見たことがないのだけれど、うーん、一言で言うのならば「岩井俊二と私は合わない」のだと思う。

全体として映画としてのクオリティが低いとは思わないのだけれど、全体的に嫌いだと感じる感覚が強かった。
だから、3時間そこまで苦痛なく見れたけれど見終わったときの満足感や充実感が薄く、良い体験をしたとは思えなかった。

風景描写は悪くない。映像も綺麗。
俳優陣も基本的には良い。(基本的には)
構成、演出、脚本、が苦手かも。原作も苦手なのかもな。

この作品の中で1番描きたかったものってなんだったのだろう。
なんだか力を入れているシーンに感覚のズレを感じた。そこにそんなに時間かける？それならもっとこっちを描いてよ。
そんな感覚。

とにかく女性への視線が気持ち悪かった感覚はずっと胸の奥に残っている。
イッコを結婚詐欺師として描くこと。イッコの母親の女を使った生き方。松本まりかと元彼(？)の無駄なベッドシーン。キリエ(姉)の男への擦り寄り方。震災のシーンで無駄に風呂に入らせ長時間下着姿。ルカのレイプ未遂。最後のシャワー。
こういったシーンに異様な執着を感じるというか、こういうのが好きなんだなキモいなと思った。

そして本当にごめんなさい、アイナ・ジ・エンドの演技がキツかった。
歌はめちゃくちゃうまい。演技が本当に無理。所作がかなり苦手、とくにキリエ(姉)を演じているときのクネクネウネウネした動きと上目遣い、気持ち悪過ぎてみてられなかった。喋り方も鳥肌立つレベル。
なんでアイナ・ジ・エンドに姉も妹もやらせたわけ？さすがに姉妹でもあそこまで同じ顔になんかならないよ。姉は絶対に別の女優さんがやるべきだったと思う。本当に意味がわからん。
無理やり考えれば、姉を失ったルカの中に姉が生きているとか、姉の名を名乗ることとの関連性とか、そういう意味合いがあるんだろうとは思うけど、いや普通に別の人の方がいいよ。

全体の構成でいうと、子供時代・高校時代・現代を飛びまくりながら進んでいくのだけれど、そうやって飛びまくっているうちに描かれないシーンが増えていって、構成が甘かったのかあえて描かなかったのかわからないけれど、そんであれどうなった？とかあの人なんだったの？とかなるものが多かった。
これは岩井俊二監督がこういう構成をしがちなのかどうかを知らないため判断しきれず。わざと描ききらず想像力に任せるタイプなんだろうか。
それにしてもなあ。

でもやっぱこれにつきる、私はアイナ・ジ・エンドの演技がめちゃくちゃに苦手だ。主演が苦手だからそりゃキツいわ。