アイナさんが主演だと?
予告も調べず観てみたが、個人的には大当たりだった。
悲しみが重奏的に駆け巡る。声が出ない、難しい役柄だろうに、アイナさんにぴったりだった。彼女の歌声の素晴らしさは言わずもがな。悲しみを掻き消すように、切ない震えた声が、琴線に触れる。泣いちゃいました。
アイナさん以外の主演は考えられない映画だった。
とはいえ、芝居はまだ不慣れな部分もあったけど、アイナさんに最高の助演を見せたのが、広瀬すずさん。若くして日本女優でトップクラスの彼女が助演ポジに居たことで、この映画をきりっとしめていた。
東日本大震災の地震発生時の様子、津波のこと、かなりぼかした描写だった。
それでも、想起させられる。
終盤、2人で海に行って
「海はこわい?」
「みんないる気がする」
お父さんもお母さんもお姉ちゃんも奪った海に対して、潮風を浴びながらの、妹ルカのこの台詞は、ぐっときた。
3時間が長い、という意見もあるようだが、テンポよく会話が弾むような映画ではないし、歌を基調に(20曲以上歌ってたかな?)叙情的に、絵画でいうところのたっぷりの余白を楽しむような物語なので、このストーリーに、3時間の空間は必要だろう。
効率重視の現代思考につかっている人にとっては長く感じるのかもしれない。
アイナさんが主演で本当に良かった。
素晴らしい映画だった。