名波ジャパン10

PERFECT DAYSの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
ヴィム・ヴェンダース監督・役所広司のコンビによる小津安二郎オマージュ作品。静かな日常の淡々とした描写の中に深いメッセージが込められています。主人公の「平山」の名前は小津作品の定番でもあり、役所広司の演じる平山のはにかんだような笑みは小津作品の笠智衆のアルカイックスマイルに通じるものがあります。キーワードは主人公がフィルムカメラで毎日撮影する木漏れ日。木の葉が醸し出す光と影の揺らぎ。その中に微かながらも確かな光を見出す主人公は役所広司ならでは。これが別の役者であったら全く逆の暗いテーストの映画になっていたと思います。完全な日々など本来はありえませんが、それを決めるのは本人という深い哲学も読み取れる作品です。極めて日本的な映画ですが、監督はドイツ人。邦画に分類すべきかどうか悩ましい作品ですが、エンディングに日本語の「木漏れ日」の解説が入るあたり、日本を外から眺めた作品ということで、やはり洋画なのでしょうか。今年No.1の映画が最後の最後にやってきました。