すみ

PERFECT DAYSのすみのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
初老の男がたった一人で生きている。
それなのに、哀愁よりも凛々しさや潔さがどこか上回る。

プライドを持って仕事をして、植物を育てて、古本を読んで、お気に入りの曲を聴いて、馴染みのお店で食事をする。
一見ルーティン化された変わり映えのない毎日の中にも、愛おしさや楽しさはいくらでも見出せる。それが日々に彩りを加えてくれる。
侘しさも寂しさも喜びも怒りも受け止めて、今を淡々と丁寧に生きる姿は美しくて格好いい。
今日は昨日の続きではなく新しいいちにちである。けれど、昨日の積み重ねに今日があり、今日の先に明日がある。
その単純だけど大切なことを忘れないようにしたい。

好きだから大切にするのか、大切にするから愛着が湧くのか。
お気に入りの場所を作るって大切だな。

役所広司と三浦友和の影踏みにはとても和んだ。

「今は今、今度は今度」
「どうしてずっとこのままでいられないのかしらね」

茨木のり子を少し思い出した。
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