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PERFECT DAYSのSTAYGOLDぴあ映画生活のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6
Yesterday Once More
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響くわ、コレ…。
クリスマスは、おねいちゃんと過ごすことを生き方としてきた奴が、初代嫁が招いてくれたガキどもを世界に送り出しきって一人で徘徊することに喜悦を感じる今日この頃。イブイブのこの日も、我が道をゆく、映画三昧。

で、気になってた本作。ツカミ近辺から隣の席のツガイのおじいちゃんが←おいおい言い方ー。まー、オレも今は山で生きるアイツと同じ浮気モンやしなー。

グスッと目頭を抑えていたとき、同じ様なリアクションを浮かべるどっかの誰かさん。こーゆーの、わかる様な年になったんか、オレ。そりゃ、フリーレンの、どーでもいい日常のシーンにこころ震えるわな。泣きそうになるわな。

スカイツリーの光に黄昏れる夕方の錦糸町の映画館は、年輪を経た人々で満員。若人少なし。まー、そう言う映画だけどさ。

つーか、ビム・ベンダース凄えよ。コレ、普通にオヅとかの空気感やろ。変な日本の画は皆無。簡単じゃねーよ、コレわ。洋モンは、ほとんどが、ここ何処ですか、の日本なのに、この国のヘタレで下手な映像屋じゃ取れないシャシンを焼いている。

淡々と紡がれる日常の中で、白黒の写真と夢で紡がれるリアル。飽きてる方もいたけど、私はヤラれました。凄えよ、コレ。

時折、姫さまたちが魅せる鮮烈ないろが、また世界を変える。

この国のトイレがこんな多種多様だとは。今更ながら感謝のきもちで首を垂れたい。もっと大切に使います。何処にもトイレの神さまはいるものね。神社や木々たちだけでなく。

まー、観てるのも錦糸町で、メシもバーも小料理屋も、銭湯もその近辺で浴び倒す野郎から観ると、もう、あるあるしか無い。浅草の地下の立ち食い蕎麦も、コイン屋の横で掻っ込む焼きそばとチュウも、朝も夜も、雨もピーカンの時もチャリで疾る街も、その全てが。

たまに映る渋谷近辺は、今現在のモノヅクリのステージ。正直、ダブルスタンダートが切ない。前日は渋谷でチームの姫たちとモノトーンのオサレなバー。映画が跳ねた後は、錦糸町の味わい深くも、年輪を感じさせるバーで、大人のマスターが出してくれるデュワーズの氷無し炭酸割で、本作を振り返る。

突然尋ねてきたあの姫ちゃんとのチャリンコ・ランデブーのシーンは、新潟の海で長女とやった記憶。2番目嫁と揉めたあのころ。もし、今、あいつの12歳の娘が尋ねてきたら…。んー、おじさん、かー^^

とにかく寡黙な役所広司。そこがヌルくもカッコいい。表情と息遣いで生を魅せる。素晴らしいよ。文庫読みながら寝落ちする様は、まさに今の等身大。キムタクもカッコいい老眼鏡をつける時代やしね。

愛しさも切なさも心強さも、その全てが、皆、人生。やがて海に還帰る隅田川の流れの様に。あゝ、素晴らしきかな、人生。

逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、動け、動け動け動け動け、動いてよー。明日、世界が滅びゆく瞬間も、日常で、そのままで。それが普通にあるがままを生きてゆくと言うこと。

いやーまじで考えさせて頂きました。今の自分の生き方にも近いし…。黄昏れるからこそ、辿り着き、満ち足りてゆく世界。

やっぱ、凄えなあ、映画は。

いつだって答えは 遥か彼方にある
それが映画なのです。

本当に濃密で濃ゆすぎる良い時間だった。
マジで、も一回観よ。てか、すぐ観てえよ。コレー。
ぜひ感じて頂き、こころ震わせて欲しいです。

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