へんり

PERFECT DAYSのへんりのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.5
ヴェンダースによるほとんど日本映画です。
モヤモヤしたので2回観てきました。
エンドロール後に表示されるように、本作は「木漏れ日」に象徴される無常の物語でした。光と陰を捉えた撮影が素晴らしく、朝日、雨に濡れた道路に反射する外灯など、東京の風景が美しかったです。お気に入りは三浦友和とのシーンで、主人公が自身の無常感を吐露するエモさと、おっさんがキャッキャと遊ぶのが微笑ましさが同居していました。ラスト、顔を朝日が照らす中、主人公が泣き笑いのような表情を見せるシーンは、新たな一日の始まりを表すポジティブな雰囲気の裏に、主人公が抱える業が透けて見えるようで、とても強烈な印象を残しました。
しかしながら、全体的にジジイのポルノ感が強く個人的な好みではなかったです。質素ながら丁寧な暮らしは結構なのですが、一方で、仕事ぶりは汚い面が恣意的に漂白されておりストレスが無さそう。また、実は実家が太いことが明らかになり、飲み屋の女将には惚れられている。さらには自身のレトロな趣味を理解する若い美女が出てくる始末。特に若者の描き方が記号的でキツかったです。
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