観る前からほぼ確だったけど、今年ベスト入り。
「東京画」でozu東京とはかけ離れた景色を目の当たりにしたヴィムがまた東京で撮ってくれて感無量。彼が撮れば日本映画がこんなにも魅力的になるのか。鑑賞前からヴィムへのインタビューや構想の記事を読み、ユニクロ代表が始動したトイレプロジェクトから映像化しようという流れや、監督にヴィムを選ぶセンスにも感激。間違いないです。エンドロールにTOTOとダイワハウスの文字でニヤる。それにしても、全ては小津監督の存在、世界中の名匠達の心に小津監督がいるなぁ、とこの12月また魅せられている。
もう画が最高。粒々、平山の移動、カメラ、夢、そこに平山の移動曲が乗り、東京らしい日本らしい画が、まさにヴィムの撮ってきた素晴らしい名画力で映されて、それだけで涙目。もうヴィムに全邦画撮ってほしい。当然に鑑賞後サントラ作成。建築家達がデザインしたトイレ達も凄く、トイレ巡り…ありか…。
平山に近いものを感じまくった。ルーティン、その乱れ、孤独、選択、こだわり。個人的昨年ベストのアケルマン作品「ジャンヌディエルマン…」にも共通要素。映画的な人の存在もあったけど、彼の選択と観ている我々の選択では偶然起こり得る事に無限通りと価値観があるじゃないか、と割と早く落ちた。それが"木漏れ日"か。それを好きでいられる様になりたい。ちゃんと居るやん、ともなったけどね。万能なマルチバース。パンフレットにあった川上未映子さんの"選択的没落貴族"、"観ている我々の価値観が試される作品"に頷く。
光と影。偶然光が当たったのがそれか、それと他の影が重なって濃くなり浮き彫りになったのか、黒は何にでも映える。確かに何も変わらないのは嫌だが。それに意見を述べるのも結局平山のその気持ちと=だ。シンプルに希望だ。この映画が。
当然にカンヌ最優秀男優賞取った役所広司が素晴らしい。全部なんだけど、要は最後のニーナシモンの役所広司で涙腺が作動したし、最高の画だし、そういうことだし。ニーナ聴きながらの帰路が最高の日曜午前だった。
★