無彩

PERFECT DAYSの無彩のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
なぜこの監督はこんなにも日本のことが分かっているのだろうか。

おそらく実家は裕福で自身もインテリであるにもかかわらず、俗世から離れるように下町のボロいアパートに1人で住み、誰からも見向きもされない公共トイレの清掃員として生きる男平山。彼の目を通して見る東京は今の日本をとてもリアルに表している。しかしながら同時に彼から見る東京はとても美しい。それは、彼が周りの生き方に流されず、自分が幸せだと感じる生き方をしているからである。周りに合わせない生き方をすることで今の問題も見えるし、同時に彼らしい生き方の美しさを教えてくれる。

それでいて、この生活が『PERFECT
DAYS』かと言ったらそうでもない。いきなり辞める部下、家族との確執、密かに寄せる恋心など平山も多くの問題を抱えていていることがわかる。

新海誠監督の『君の名は。』のような憧れを感じさせる東京ではないが、大都会東京で細々と生きている1人の人間から見る東京はそれはそれでなんとも言えない趣がある。

あと、この前の『すばらしき世界』でもそうだったけど、孤独な人間をやらせたときの役所広司は本当に好きすぎる。
無彩

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