TakayukiMonji

PERFECT DAYSのTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
年末駆け込み鑑賞。
“完璧な日々”。繰り返される日々のルーティンの中に見える、ちょっとしたことが人生の素晴らしい一瞬である。静かでいて、ずっしりと沁みる傑作だった。

役所広司演じる平山は、寡黙で淡々としていて、怒るようなこともないような人柄に見えるが、彼の心の機微や芯の強さも随所で描かれていて、それもあり、最後のシーンが深い。過去に何があったのかは観客に想像させる。彼の記憶の断片みたいなものは見えるんだけど、わからない。何があったのかはわからないけど、ただこのまま生きていきたいという気持ちを感じた。一方で、噛み締めるような悲しさと虚しさを感じさせるシーンもあり、役所広司の表情が効いていた。素晴らしい。
木漏れ日、これは日本特有のワンワード。日々の中で、漏れて差し込んでくる光たち、そんなものを感じる120分だった。
単純だけど、生きてたりゃどうにかなるし、ささやかな幸せはいっぱいあるから頑張って生きようと思えた。年齢的にこれがすっとハマるわ。。

また、これらを総合的にまとめあげる映像の美しさと選曲のセンス。写真家としても活動するヴェンダースの映像によって、よく知っている東京の街並みたちの魅力が増していた。浅草駅の地下のあそことか、渋谷区の公園たちも。
姪の名前がニコだったり、Lou Leed、VelvetはもちろんPatti Smith、Stones、Kinks、Animals、Van Morrison、Nina Simone、金延幸子まで。映像と合わさって、名曲が名曲であることを再認識させられるくらい映像と選曲もマッチしてたな。
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