Nick

PERFECT DAYSのNickのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

知ってる東京の景色も多くて、でも少しズレて全く知らない東京もたくさん見せてくれて、凄く良かった!

普段首都高乗らんけど上からの岩本町とかテンション上がるわ。


東日本大震災の際、2万人亡くなったということはつまり「2万の世界がなくなった」ことだと表現していたのは桜井政博氏だったか。ビートたけしの近い内容のコメントを引用していた筈。

人の数だけ世界がある。僕らの目に映っている世界は、それぞれが重なり合ったものなのだという風に自分も元々考えていて、劇中の彼等を見ていると現実以上にそれがハッキリ映っていた=完全に自分とは別の、他者としての理屈で動く平山を通して彼の世界を感じられた!



毎日空を見てあんな表情を浮かべられる人になりてぇ。ただあれにはそう簡単になれないのが分かってしまう悲しさ。

ラストで改めて思ったけどやはり印象的に思える場面においての俳優の顔には怖さみたいなものを感じるし、それがある種の神々しさにも繋がっている…?


犬山イヌコ、サトシの冒険を見届けて以来だったかもだけど声にめちゃくちゃ安心感があった!


全体的なテイストとしてリアルというか生々しい。特に平山の日々の仕事の様子にある種の理数的な雰囲気を感じるのに対して私生活での文化的な姿の背景には描写を見るに育ちの良さがありそうで、そこが本当に…。


トイレみたいな誰もが使う施設・設備から分かりやすさ・やさしさが抜けてるのはキツいし、映画の成り立ちからあのどないして使うねんシーンがあったのは批評的だなあと。

より良い世の中にしよう!という意気込みも結局目の前のことを1つずつ乗り越えないといけないということを常に念頭に入れんといけないし、そうした日々に自分の考える充足を作るということは決してエゴでなく多層に重なり合う世界でトータルのハッピーを大きくすることに繋がるんじゃないかなあと思いたい。
一方でそんな全体テイストが故に所々の不意なファンタジーをノイズとして強く感じてしまうのはあった。

良いシーンだけど、元旦那が川飲みしてる平山をピンポイントで見つけタバコ要求するところとか「ねーだろ!そんなこと!」とはなる。

あとママはそこらの店の女将としては歌が上手すぎて怖い!そりゃあめっちゃ良かったさ!配役が本気出しすぎて最もフィクションなシーン!
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