sammy

PERFECT DAYSのsammyのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
009/2024

ながーーーーいBOSSのCMかと思ったw
けど!

ヴィム◦ヴェンダース現時点での最高傑作間違いなし!
これまでは「パリ•テキサス」が監督の一番だと思ってたけど軽く超えてきましたね。
いやー素晴らしい。
10のうち10よかったなー。
是非もう一回観に行きたい。

何気ない見慣れた東京の街が映画に切り取られてとても印象的で愛おしく感じた。
地下通路に面している立食い蕎麦屋、JRの改札が見える居酒屋など改めて考えると東京って面白い町だよなあ。

トイレ掃除の手順を執拗なまでに細かく丁寧に描くことで平山のリアルな人物像が浮かび上がる。
仕事中にふと景色を見上げるシーンいいなあ。

平山の質素で単調な日々のルーティンは
誰の言葉か忘れたが
「人間なんて衣食住が足りてて少しの娯楽があれば十分ではないか」という言葉が思い出される。

カセットテープやフィルムのカメラは
つまり平山自身なんだな。
まわりが勝手にレトロだなんだと騒ぎ立てるけどそれ自体はずっと何にも変わらない。

ニコの登場以降 それまでの平穏な空気がちょっとだけざわついてきてその時
すこーしだけ平山の表情と振る舞いが険しくなるんだよねー。
個人的には前半の穏やかな日常がずっと続くのでも良かったなー。

柄本時生 甲本雅裕 モロ師岡の馴染み具合が完璧。

石川さゆりは最初おお!と思ったけど
同じ日本人の目線だとちょっとやりすぎかなー。
あの役は普通の綺麗な女将さんでよかった気がする。
歌うますぎて逆にちょっと引いた。そりゃそうだ。

ルー•リードの曲「Perfect day」と言えば今まで「トレインスポッティング」の印象だったのだが(使われている意図は真逆だけどw)これからは今作のイメージにもなったなあ。

ニーナ•シモンの「Feeling Good」の曲とともに
失われていくものの儚さと可笑しさを見事に表現してくれた役所広司の最後の長回しカットの表情は圧巻の一言。素晴らしい!

この映画を経験をともなって良いと思えるのなら年をとるのも悪くないなと思った。

何も起きない平穏な一日を終えて
そのことに感謝し満足し
微笑んで眠りにつく
そんな日々を送りたい。
sammy

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