空中猫

PERFECT DAYSの空中猫のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

主人公は無口だけど、不器用って感じでもない。人間関係は広くはないかもしれないが顔見知りからは信頼されてるのがわかるし、コミニュケーションが取れないわけじゃない。

慈愛に溢れていて、自分の人生に諦観してるわけでもない。日々の小さな幸せを見つけて噛み締める生き方ができるしなやかさを持ってる。
時には嫌なことがあって心を乱されることもあるから、人間離れしてるわけでもない。そういうどこかポジティブで素朴な優しさを持ってる一方で、寂しさを伺わせる白髪混じりの絶妙な表情を、役所広司が見事に演じている。

なんとなく日々に疲れた人が見ると共感できるし、「SNS映え」に追われるんじゃなくて、自分の気持ちに寄り添った等身大の幸せを大事にしなきゃと思える作品だった。

劇中の会話はめちゃくちゃ少ないのだが、主人公の生活や所作を細かく描いてるので、みてればどんな人物か分かるようになっている。無口なのに買い物の時は必ず挨拶をしたり、神社の鳥居をくぐるときは端っこでを通って軽く会釈したり、植物のお手入れを欠かさなかったり。劇中の人々とのやり取りをみても、本当に気遣いのできる優しい男で、やっぱりこういう役柄を役所広司にやらせたら最強だ。

木漏れ日溢れる春の季節が恋しくなりました。
空中猫

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