しず

PERFECT DAYSのしずのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
【2/13加筆】
この映画を観て時間が経つにつれて自分の生活や考え方にとても影響してきてることに気づいてしまった。これは間違いなく自分にとってNo.1ベストムービー。

また何か癒しが欲しい時にここに戻って、平山さんのように空を見上げたい。


【2/9】
ずっと気になってて、やっと観れた。

まず、一日のルーティーンの演出がエモすぎる。近所の道路に落ちた落ち葉をほうきではく音で少しため息?して起き、すっと布団を畳んで片付けて、植物に水をやって、下で歯を磨いて顔を洗って髪を整えて、ツナギに着替えて、玄関横の棚から時計とか小銭を取って、外に出て、明滅する自販機でカフェオレを買って、エンジンをかけて家を出て、スカイツリーが見えてきたら、音楽をかけて、現場まで向かう。仕事が終わったら、車で家に戻って、服を着替えて、自転車で開店と同時に銭湯に行って、駅地下の飲み屋でご飯を食べて、家に帰って、文庫本を読み、踏切の音が鳴ったら電気を消して寝る。そして、休日はコインランドリーに行って、ツナギを洗って、文庫本を買いに行ったり、スナック?でお酒を飲んだり。Z世代の自分もそんな省エネな生活がすごく羨ましく感じてしまう。
あと東京の見せ方がすごくいい。出勤時とか自転車で橋を渡る時とかに映るスカイツリーがめっちゃ綺麗。どこから見ても変わることの無い東京のランドマークなんだけど、朝昼夜と時間によって表情が変わるのが、日常の中のつい見逃してしまいがちな変化を映すこの映画をより際立たせてるように感じる。駅地下の飲み屋の混み具合であったり、公園とか銭湯に来てる人が日によって変わってたり、そういうちょっとした違いが日常には必ずあって、平山さんはその変化を楽しんでるように見えた。この映画を通して1番印象深く残ってるのが平山さんの笑顔で、平山さんになりたいとすら思ってしまう。

全体通して、セリフがほんとに少ないんだけど、言葉よりも画で語ることがものすごく多い。ヘタすると普通の映画よりも語ることが多い気がする。セリフがないシーンが多いから、情報が一方的じゃなくて、見てる側が考える時間が多いから、より多くのことを考えらされる。

今作はずっと4:3のアスペクト比で映されるから、他の映画よりも画面中心に目が行きやすくってて、構図の観点からも人物がより魅力的に映っていてるように感じた。横に狭いから、縦に長いスカイツリーとかの東京の街並みが映えるし、昔のアスペクト比だから、どこか懐かしさも感じる。平山さんの住んでる家の古くて懐かしい昭和感溢れる内装もより際立ってた。自分が生まれる前なのに何故か懐かしさを感じられるって、ほんと映像ってすごいなと思う。

中盤以降は平山さんの過去にかなり深く関わってくるシーンが出てくるんだけど、家族構成と映像で起きてることしか分からないから、平山さんの過去に何があったのか全く分からない。ただ、確実に何かがあって、今の平山さんになったことだけは分かる。そのシーンで平山さんが泣いた時と、その後?のバイトが急に辞めたシーンで、怒った時に、人間味が感じられて、平山さんも自分たちと同じちゃんと生きてる人間なんだなとなぜか安心した。

ラストシーンは元旦那さんとタバコ吸ったり、お酒飲んだり、影踏みしたり、終始ほっこりしたな。

この映画を見た後、余韻にどっぷり浸りたかったから、帰りの車でちゃんと7,80年代の曲をかけてのんびり帰った。

何というかこの映画は、ほとんどの映画にある平和で落ち着いたシーンがずっと続いてるような、見てて心地いい穏やかな気持ちになる。
しず

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