なおとくらぶ

PERFECT DAYSのなおとくらぶのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

台詞はほとんどなく、役所広司が淡々と毎日のルーティンワークをこなす。朝早くに起きて布団を畳み、歯磨きをして、室内の植物に小まめに水をやり、仕事用のつなぎに着替える。玄関の固定の棚にきれいに並べられた、鍵や携帯や小銭を横から順に取って家を出る。ダイハツの軽に乗ってエンジンをかけ、さっき自販機で買ったBOSSの缶コーヒーをぐいっと飲む。仕事場に向かう途中、カセットから流れる60-70年代の音楽が懐かしい。車の窓から時々見えるスカイツリーもよい。渋谷エリアの仕事場に着くと、黙々と公園のトイレ掃除。いろいろ専用の道具も使う。と言っても、汚ならしいトイレではなく、アートでユニークなトイレがたくさん出てくる。お昼は公園の日陰のベンチに座って、ローソンで買ったサンドイッチと牛乳。風で揺れる木漏れ日を眩しそうに見上げ、ポケットからオリンパスのフィルムカメラをおもむろに取り出しパシャリ。日中仕事は早めに切り上げて、家に帰って着替えた後、今度は自転車に乗って銭湯に。湯船に顔を半分沈めてぶくぶくやる。夜はまた自転車に乗って、浅草駅地下にあるオープンカウンターの居酒屋で、いつものかんじでつまみとか出てきて、ハイボールをぐいっと。雨の日も変わらず、カッパを着て自転車に乗る。夜は布団に寝っ転がって、スタンドの光で小説を読み、眠くなったら眼鏡を横に置いて寝る。
週末は、古本屋で100円の単行本を買い、フィルムカメラで撮った写真の現像をお店に取りに。途中コインランドリーで、つなぎの洗濯も。夜は行きつけのスナックで、ママ(石川さゆり)の手料理や生歌も聴けたり。

何気ない繰り返しの毎日に、ささやかな楽しみがいくつも散りばめられていて、最後まで静かな進行ながら、何かじわっとくるものがあります。渋谷のアートなトイレにも、今度行ってみたいと思いました。