ぽみょ

PERFECT DAYSのぽみょのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
良すぎてレビューを書く手がなかなか動きません
(本当はもっと書きたいのだけれど、もっと上手く表現したいんだけれど、とりあえず記します。)

音楽が流れるたび良すぎてずっと脳バグってた、、映画館で見てよかったです。

平山(役所広司)が空を見上げた時にふっ、と小さく微笑むのがたまらなく良かった。なんていうか、宇宙を愛するような(よくわからん表現だけど)、、優しさに満ち溢れた微笑みで、他の人間には見えていない見つけられない美しさが見える人なんだなぁって。

(~ここからネタバレあるかもです~)

彼の過去には間違いなく何かしらの大きな転機があって、昔からこの生活をしていたわけじゃないんだろう。
レクサスに乗った妹が訪ねてきて、まだ仕事はトイレ掃除をやっているのかと尋ねたシーンから、彼は昔お金に困ることのなかった優秀なビジネスマンだったのかもしれない。
でも彼はそれらの全ての生活を捨てて、今この質素な家での生活とトイレ掃除という仕事を選んで生きている。

みすぼらしい家に住み、職業はトイレ掃除、自由に使えるお金も少なく、同じような単調な毎日を過ごしている彼は世間的に見れば退屈でつまらないとても幸せには見えない人間だろう。
ただ誰よりも幸せで満ち足りたように見えるのはなぜなのだろう。
これが、こんな時代だからこそ、現代人が今一度考えるべき問いなのだろうと思う。

もし自分があのトイレ掃除の仕事を任された時、あそこまで丁寧で行き届いた掃除をできるんかなぁ、、

ただただ数冊の本と好きなカセットテープ、そして小さな木々に囲まれる生活。毎日銭湯に行って行きつけの店で飯を済ませる。
とても質素なのに羨ましく憧れさえも抱いてしまう生活だなぁ。

又吉さんの感想を聞いたが、ブラックコーヒーじゃなくてカフェオレなんや!ってのもめっちゃ思ったし、本を一冊ずつ買って読むっていう豊かさもすごく共感出来た。

自分もそうだからとても思うんだけど毎日ブラックコーヒー飲むのってカフェインに依存しているようで健全じゃない気がするので。
(ただ僕はこの不健全さが好きです)

東京の良さ、日本の良さがたくさん描かれていた。日本に住んでいたら見逃してしまうような日本の美しさに沢山気づかされました。
ちょうど海外旅行から帰ってきた時に日本の良さに改めて気づくみたいな感覚。
外国の人がこうやって日本を描いてくれるのはとても嬉しいし、これを見て日本に興味を持って訪れてくれる外国人が増えてくれたらいいなって思います。

公園でお弁当を食べる女性、不思議な動きをしているホームレスの老人、〇✕ゲームの相手、この映画にはセリフのない登場人物が何人も登場する。他の映画だったら、どちらかが話しかけて物語が発展しそうなものだが、最後までどこの誰でどんな人物なのかは分からない、あくまで平山とは別の世界に生きている人のまま終わる。別の世界の住人だが、平山の目にはしっかりと写っている。

最後のシーンは圧巻でした、、
あの平山の表情には一体どういう感情が含まれているんだろう。

映画が終わり立ち上がって映画館をでる時、後ろ見たら50代くらいの男性が感激の表情を浮かべており、その人は最後の一人になるまで立ち上がれずにいた。
20代の自分が今見るのと、10年後20年後見るのとではまた感じることが違うんだろうなぁ。

素晴らしい映画でした。
ありがとうございました。
ぽみょ

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