トモロウ

PERFECT DAYSのトモロウのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6
繰り返しの毎日を同じように繰り返す主人公平山。
箒の音で目を覚まし、歯を磨き、植物に水を遣り、缶コーヒーを買い、いつもの場所でカセットテープを流す。
トイレ清掃の仕事は真摯に愚直にする。自分のためでも人のためでもなくただ清掃の仕事を完璧にしたいように見えた。

無口だけれど人を拒絶しているわけじゃないのは、仕事終わりに行く居酒屋の店員や休日に立ち寄る古本屋の女主人から掛けられる言葉でわかる。きっと長い時間をかけて関係を築いたのだと。

物語中盤姪のニコが訪ねて来ていつもの毎日に変化があるが2人で過ごす時間が愛おしく、ニコの母親であり平山の妹が迎えに来た別れ際の抱擁が泣けてくる。
ニコと自転車で歌った言葉やエンドロール終わりのメッセージに込められている、今は今しかなくその瞬間を慈しむことは、毎日同じように過ごしている中でずっと同じ写真を撮り続けている平山が一番知っているのかと思った。


映画は役所広司をはじめ役者の演技が素晴らしいし、車で流れる音楽は心地いいし、アパートの2階の光は綺麗だし、何度も味わいたくなる作品。

劇中、時折平山が微笑む顔が好きだ。毎朝空を見上げてニコッと笑える日々を過ごしたい。
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