悠

PERFECT DAYSの悠のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
渋谷でトイレ清掃員として働く男性のなんでもない日常の変化を描いたドラマ。
役所広司演じる平山はどこにでもいる無口な独身男性。仕事は真面目で余暇は読書を嗜み木を愛でて、仕事終わりや休日のルーティンも持っています。彼の日常は豪勢な生活をしている人間からすると一見つまらない日々の繰り返しに映るかもしれませんが、その日その日によって小さな変化があり、彼にはそれを見つけ、楽しむ視野の広さと心の豊かさがあります。その小さな変化の中には劇的なドラマはありませんし、写実的でまるでドキュメンタリーを観ているかのよう。しかし言葉は多くなくとも、無口な彼の嬉しそう、悲しそうな表情一つ一つが言葉以上のものを我々に語りかけ、深く心を打たれます。個人的には役所広司史上最高のキャラクターでした。
仕事や学校に追われる日々の退屈さに疲弊していく人が多くいる中で、心が豊かでさえあれば人はその日々の中にも小さな変化を感じとり、その瞬間瞬間を楽しむ事ができる。
「今度は今度、今は今。」
行雲流水という言葉をそのまま映像化したような、なんて素朴で素晴らしい映画なんだろうと思いましたし、外の世界に対して淡白な自分でもこの作品を観て変われるような気がしました。はやくこれになりたい。
悠