お前はもう死んでいる

PERFECT DAYSのお前はもう死んでいるのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6
ひたすら映像が綺麗だった
映画の途中まで役所広司が喋ってないのに気づかなかったくらい違和感がなく、役所広司の表現力に圧巻された。
特に大きい出来事が起きるわけでも目立った起承転結がある訳でもないんだけど、いつも通りの日常の中でちょっとニヤけるような楽しい事が起きたり、どうしようもない虚無感に襲われたり、でも誰かが手を差し伸べてくれるわけでも、全てが報われるわけでもなく、ただ淡々と毎日が過ぎていって、今日も決まったいつも通りの仕事をこなしていく、そういう普通の日常が凄くリアルで大人な映画だと思った。
自分的には幸せを感じた日も、物凄く絶望した日でも、世界はいつも通り回っていて、今日が終われば明日がきて、時間になれば仕事に行かなければならない。自分が頑張っているからといって特別ラッキーな事が起こるわけでも、神様から特別なプレゼントが贈られる訳でもない。それが現実だよな〜と思いながら観てた。ただなんというか、そういう不平等でもあり、ある意味平等でもあるこの世界を生きていく役所広司を観て、生き様がカッコイイとは決して言えないけど、どこか色気を感じて、かつこの不器用さ、カッコ悪さがまた愛らしいと感じた。
最後のシーンで何故役所広司が泣いていたか、それを完全に理解するにはまだまだ自分は人生経験が足りなさすぎるけど、いつかまた生きていて色んな感情を知った時にこの映画をふと思い出すような気がする
とても好きな映画だった。