オム

PERFECT DAYSのオムのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
平山さんの"足るを知る"暮らしっぷりに憧れを持ったり、自分だってこういう満たされた時間を知っているし過ごせるんだよねってことに気づかされたりっていうのはもちろん
自転車に乗るシーンで、平山さんがニコに言っていた「僕と君のママは同じ世界を生きているようで、違う世界を生きているんだよ」っていうところがすごく刺さった。
刺さった、というか
大学4年の夏にひとり旅に出て、いろんな所でいろんな人をみて、沢山のことがわかって、沢山のことがわからなくなったあの感情を思い出した。
人はひとりひとりその人の世界があって、みんなが同じ世界を生きているけど、生きているはずなんだけど、見えるのはいつだって自分の世界とそれにたまたま重なった人の人生の一部だけで...
結局のところ、人は人、自分は自分。なのであって...
でも、極端にそうとも言っていられないのがこの世界の1番難しいところなのかもしれないなあ
平山さんでいうお父さんや妹のように、否が応でも交わってしまう、交わらなければならない人がいて、時があって、でもそんな中でもやっぱり自分をどうにかできるのは結局のところ自分だけであって。
だから、揺るがない自分の芯とか核とかが大切で、それがある人は何であれ強いな、と思う。
そんな核を持ちつつ、社会とのつながりが最低限に思えるけど充足した暮らしをしている平山さんが、人や情報に溢れかえった東京という場所で描かれている、というのもとてもよかった。
オム

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