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PERFECT DAYSのaKircrazyのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.9
私がこの映画を観て感じたこと。

なんというか、人間って欲が深いんだよね。
お金にがめつかったり、幸福を求めすぎたり…。
求めすぎることばかりで、欲望に食い尽くされている。
特に、日本人にはそんな人が大多数なんではないかと感じている。

この映画では、役所広司さん演じるヒラヤマがただひたすら慎ましく生活する日常が描かれている。
それは決して不幸を描いている訳ではなく、本当に一人の人間として真っ当に生きている様を描いているのだ。

ヒラヤマは孤独であると思うが、そこに寂しさは感じられない。
それは、ヒラヤマが自ら選択した世界の中できちんと生きているから。
自分で定義した世界、それが叶っているから。

私は、これこそ人間が「幸福」を感じて生きることの最も重要なことの1つだと思っている。

ヒラヤマの世界はとても慎ましい。
いつも早朝、近所のおばちゃんが掃除する箒の音で目覚め、外の天気を見てニコッとする。
草に水をやり、自分の好きな音楽を聴き、いつもの場所で写真を撮り、行きつけの店で一杯やって、読書をして眠りにつく。

何気ない毎日、日常を過ごせることに幸せを感じ、小さく満足する。
これが本当に幸福なんだと、私もそう思っている。

ただのTheおじさんの日常映画でも、現代の若者のアナログブーム向けの映画でも何でもない。

本当に大切なものは何か、人間が生きていくとはどういうことか、繊細に描かれたとても素晴らしい映画なのである。

現代の全日本人が観るべき傑作映画。
改めて、役所さんカンヌ男優賞おめでとうございます。
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