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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のparaのレビュー・感想・評価

4.0
1858年に実際に起きたエドガルド・モルターラ誘拐事件を描いたマルコ・ベロッキオ監督作品。
上映前にスピルバーグが映画化を目指して断念したトークあり。
前情報なしでの鑑賞でしたが、すぐにスピルバーグが撮りたかった理由がわかる。

イタリアボローニャで暮らしていたユダヤ人家族の6歳の男の子がローマ教皇の命によりバチカンに誘拐される。
当時何人ものユダヤ教徒の男児がバチカンに連れ去られ、キリスト教に改宗されたと。
当時のユダヤ人の置かれた状況、イタリアの歴史も少し描かれる。
本人の意思ではなく連れて来られ、洗脳されて結果家族と引き離されることは現代でも例え宗教絡みでなくとも起こっている。(例えばウクライナの子どもがロシアに連れて行かれる等)。
自由とは、意思とは、環境とは、宗教とは、権力とは、などなど考えてしまう、モラルの一言では片付けることができない重厚で見応えのある歴史物。

(宗教は多かれ少なかれ権力と関係している。唯一神って、と思うのは日本人だからでしょうか。)

エドガルドの少年時代を演じた子役が初めての演技とは思えぬほど表情が素晴らしく(誰かにとても似ている)、その面影のまま青年になったエドガルドがなんとレオナルド・マルテーゼ!!(小躍り)
レオナルド・マルテーゼが出演しているとは知らず、その後は目が釘付け。

バルバラ・ロンキの演技は素晴らしい。

TIFF2023
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