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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のshironのレビュー・感想・評価

5.0
光も煙も美しい。圧倒的な美しさは人の心を魅力し奪う力を持っていると感じました。
神々しさにひれ伏す危険。

聖母子像を崇めてるくせに、母から子を引き離すなんて。
この愚行。愛と平和を説いたはずのイエス・キリストが知ったら嘆くだろうて。
目的と手段が狂ってる。
ただただ権力を誇示したいだけに思えました。
イエスがなんで律法学者を批判して神殿をぶち壊したかわかってる?
法皇に対して、ちゃんと新約聖書読んだ?と問いただしたくなる。
悪者に仕立て上げるような単純な描き方はされていないのに、ふつふつと湧き上がる怒り。
忠誠を誓わせる行動や罰には怒りで吐き気がしました。相手の尊厳を無視した傍若無人な振る舞い。
ボディブローのようにじわじわ効いてくる映画です。

そもそも人を救うって何?
救いを求めて神にすがるのは個々の勝手だけど、別に求めていない人を無理矢理救うなんて大きなお世話。
しかも洗礼を受けたくて受けた訳じゃないのに。

恐ろしいことに、頭の硬い大人だってカルト教団に洗脳されるんだから、子供はスポンジのように吸収してしまう。
閉ざされた社会の中の閉ざされた集団のなかで正しいと教えられたことが全てになっていく。
怖すぎる。

イエス・キリストとの幻想的なシーンが素晴らしい。
子供の頃、十字架に磔られたキリスト像や絵画がとても怖かったのを思い出しました。
怖いけど、なぜだか目が離せない。
なぜこの人はこんな仕打ちにあっているの?
どうしてこんな残酷なことが出来るの?
キリストは復活したのに、いつまでも磔にしておきたいのは、罪と罰と恐怖で縛りつけたいと願う組織なのでは?と感じました。
神の名の下にやりたい放題。

ユダヤ教もキリスト教も根っこは同じなのに…
ガザ地区を思わずにはいられませんでした。
今、見るべき1本です。
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