どど丼

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のどど丼のレビュー・感想・評価

4.2
近世ローマで発生した、ユダヤ教徒の少年がキリスト教徒に強制改宗と誘拐を余儀なくされた実際の事件を元にした作品。宗教を取り巻く国家や社会構造の問題点と個人レベルでのグルーミングが大きなテーマになっていて、かなり骨太な内容にかなり逡巡させられた。

日本人としては前者のみだと取っ付き辛さがあるかもしれないが(最近のガザ問題なんかには通ずるとはいえ)、後者観点では新興宗教や旧ジャニーズ問題に繋がる部分も多く、皮肉な事に古さを感じない。登場人物の誰にも共感し得ないほど、宗教と社会によって根本的な「自由」の形を歪められてしまっているのが何より辛い。ケレン味の強いサスペンス風味の作劇にはイタリア映画らしい情感があり、2時間超えにも拘らず終始息を呑む展開だった。

「蟻の王」に続いて宿命多き境遇に置かれるレオナルド・マルテーゼの存在感は圧巻。美しい。。
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