どど丼さんの映画レビュー・感想・評価

どど丼

どど丼

時々、私は考える(2023年製作の映画)

3.9

不器用でコミュニケーションが苦手な主人公が、己を縛る枷と向き合っていく。性別や年齢を含め、主人公が特定のステレオタイプに当てはまらない普通の人間なのが本当に良くて、共感する場面が沢山あった。不条理でま>>続きを読む

疾走(2005年製作の映画)

3.5

重松清の同名小説の映画化。原作は小学生の時に読んで衝撃を受けて以来、何度も繰り返し読んでいて、未だにストーリーラインも記憶しているほどだが、あの時の衝撃が鮮明に甦るほど寂寥に満ちた物語が再現されていた>>続きを読む

ロイヤルホテル(2023年製作の映画)

4.0

二人の女性が1週間のワーホリの中で直面する非情な性搾取の実態を描く。

キティ・グリーン監督の前作「アシスタント」の舞台がホワイトカラーの職場だったのとは対比的に、本作は郊外のブルーカラー主体のコミュ
>>続きを読む

泣くな赤鬼(2019年製作の映画)

3.3

父親と若者、父親と家族、そして若者間の不和と結束&愛情、それを描くツールとしての野球と余命系ジャンル、、これぞな重松清。

余命モノが苦手なのに推しが出ているという理由だけで観てしまったが、中年男性と
>>続きを読む

恋い焦れ歌え(2022年製作の映画)

1.0

令和のエログロナンセンス。腹立って文句しか出てこないのは「彼女が好きなものは」以来(ベクトルは全く違うが)、令和に一般の実写映画でやるべき内容ではない事は製作側も認識すべきでは。BLなのにホモフォビア>>続きを読む

さよならモノトーン(2023年製作の映画)

3.1

「僕ミク」で沼った中田圭祐君の初主演映画、ずっと観たかったのだけど、気づいたらレンタル配信されていてようやく観れた! 重いトラウマと悔恨を抱える大学生という普段の中田君とド真逆な役柄、本人大変だったろ>>続きを読む

余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。(2024年製作の映画)

3.2

令和に全力王道ド直球な余命モノがこんな豪華キャストで撮られるとは驚きも驚き。三木監督なのでさすがに絵の美しさは一級品。ただこの映画に「若者のすべて」は違うと思うし、シャガールの引用は流石に冷める。>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.5

ディスカッションの教科書として大変秀逸。理性と本能のバランシング、決定打が無い中で結論を導き出し合意を取る事の困難性。社会に出て集団の中で立ち回る事が強く求められるようになった今だからこそ面白く感じら>>続きを読む

若武者(2024年製作の映画)

3.2

鬱屈に苛まれ倒錯した3人の若者の内なる衝動が発露していく様をオブビートに描いて行く。時代劇だと思ってたら全然現代の若者の話だった笑。

坂東君目当てで観たけど、めっちゃユーロスペースで上映してそうだし
>>続きを読む

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

4.0

愛と喪失を巡るオムニバス3+1篇。ドキュメンタリーチックな劇映画スタイルは黒沢清先生に近いイメージ。全編を通じてシリアスな文脈から物語が描かれるが、ケレン味を効かたり深くは語ることはせず、その場の出来>>続きを読む

カンツォーネ(2014年製作の映画)

3.6

「あなたにとって歌/音楽とは?」を色々な人にインタビューした音声を、モノクロのアーカイブ映像に乗せて流す。

一見なんだこれ映像なんだけど、確かに歌や音楽の定義というか概念というか観念というか、そんな
>>続きを読む

ゾンビ(2020年製作の映画)

3.5

ハロウィンの夜、父親の帰らない母子が思いついた計画とは。ただただ切なくて苦しい。イタリアの夜景って特に重苦しさを増幅させる独特の空気に満ちてるよな……。娘にゾンビのコスプレをさせたのは、母親に未練があ>>続きを読む

少し未来のある部屋で(2021年製作の映画)

3.2

ゲイカップルの一方が妊娠する話と思いきや、男性が代理出産する話でビックリした。「ヒヤマケンタロウの妊娠」も男性妊娠の話だけど、それとはまた違った「PLAN75」に近いリアルなSF感があって興味深い。短>>続きを読む

夫=夫(2021年製作の映画)

3.0

どこにでもいる「ふうふ」のお話。日本国内でゲイの物語をゲイの監督が撮ったというだけで既に価値があるが、彼らが普通に生きていて、普通に歳を取っていける社会を想う監督の優しさが溢れてる。海辺で一緒にランニ>>続きを読む

HIV x LOVE ?(2017年製作の映画)

3.0

タイトルの通り、ゲイとHIVを題材にした短編作品。問題自体に深く切り込んでいるわけでは無いが、少なくとも同性間性交におけるリスクとそれに対するゲイの認識の甘さはよく切り取っていると思う。「IT'S A>>続きを読む

アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

4.2

ヴィム・ヴェンダース×アンゼルム・キーファー、しかも3D上映で6K映像(6K上映ではない)という超ハイスペック映像。こんなバチバチのアートドキュメンタリーがシネコンのスクリーンで観られるのは貴重過ぎる>>続きを読む

フェラーリ(2023年製作の映画)

3.6

世界的高級車メーカー創業者が産み落とした功罪。名声と野望に取り憑かれる程に犠牲になる家族や周囲の人々、観ているのが辛かった。愛憎に苛まれる妻を演じたペネロペ・クルスの凄味たるや。終盤のカーレースシーン>>続きを読む

ヒットマン(2023年製作の映画)

3.7

本業は大学教授、副業は殺し屋に偽装する潜入捜査官という情報量多めの実在の人物をグレン・パウエルが百面相で演じる話題作。

リンクレイターの過去のヒット作のイメージとは異なるラブコメアクション映画で、風
>>続きを読む

劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:(2024年製作の映画)

4.5

完全初見、めちゃくちゃ良かった、、👏

日常系のほのぼのきららアニメかと思いきや、それを逆手に巧く緩急を取りながら、ぼっちの主人公と彼女を取り巻くバンドメンバーたちの成長と"結束"を描く、あまりに瑞々
>>続きを読む

ULTRAMAN: RISING(2024年製作の映画)

4.2

【⚠️阪神ファン、閲覧注意🐯】 🤣

ネトフリ直下製作の欧米アニメ版ウルトラマン、想像の何倍も良かった! 特撮、ピクサー、アメコミ、エヴァ、野球……と語りたい要素が多すぎる物語と世界観だが、何と言って
>>続きを読む

セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

3.3

よくもまぁパリ五輪の1ヶ月前にトライアスロン会場(セーヌ川)でサメが大暴れする映画を公開したもんだなとそれだけでも大分おもろいフランス産サメ映画。

Netflix資本なだけあってかクオリティは一定以
>>続きを読む

HOW TO HAVE SEX(2023年製作の映画)

4.0

現実逃避のバカンスを楽しむティーンエイジャー女性が直面する、理想と現実のギャップ。パリピ映画と思いきや、若者の深層にある感情に迫りながら、人間の不寛容や無神経がこじ開ける闇部を抉り出す重厚さ。"性的同>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.0

流石の韓国資本、ケレン味全開の大作映画でもずっしり骨太。VFXがふんだんに使われた災害シーンやディストピア都市の風景から来る映像圧が凄まじく、劇場で観れば良かったと後悔するほど。

アパートの住民達の
>>続きを読む

白鯨(1956年製作の映画)

3.8

「白鯨」、色んな作品で引用されているから触れておきたいが、メルヴィルの原作はちょっと長いし、原作に忠実な映画版(本作)はどこでも配信されて無いし……といつかDVDで借りたいリストに入れていた本作、気づ>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

4.4

「CURE」の次作ともあって、再びあの衝撃に近い感覚を味わえる上質加減。

イヤミス的な筋書きではあるが、虚実混合で充分に理解し得ずモヤる感じはノーラン映画っぽい、笑。固定と手ブレ少なめのハンディでし
>>続きを読む

サウンド・オブ・フリーダム(2023年製作の映画)

-

Qアノン映画と揶揄される本作、日本での劇場公開が決まってしまったようだが、まず観ないことには何とも言えないのでとりあえず観てみた。

「小児性愛者からなる闇の権力が世界を牛耳っており、トランプは彼らと
>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

4.3

シンプルながら強烈な死神ニキのビジュアルがで目に焼き付いて離れない笑。それはそうと、人間の業や社会の不条理に対するキリスト教信仰の妥当性を直接的でありながら寓話チックに示していて、特殊な作劇ながら唯一>>続きを読む

男女残酷物語/サソリ決戦(1969年製作の映画)

4.3

55年前のイタリア映画を本邦初公開と言われてもなと思いつつ、アバンギャルドなビジュアルとよく分からないタイトルに釣られて行ったらさすがに面白かった。明らかに時代が早すぎたし、かと言って今撮れる訳でもな>>続きを読む

ジャングルのけもの(2023年製作の映画)

4.0

よくもまぁあの抽象of抽象な原作小説を、ここまで忠実かつナチュラルに具象化出来たなと驚いた。

ボネロ版ほど振り切らず優等生的な構成である以上、逆に原作を読んでいないと話が浅く見えたり総じて退屈に感じ
>>続きを読む

ブリーディング・ラブ はじまりの旅(2023年製作の映画)

3.4

時が流れる、愛が流れる。ユアン・マクレガーが実娘とW主演を務めたロードムービー。確執を抱える父娘が再び向き合うまで。一見よくある物語でも、実の父娘が語るとなれば説得力が違う。実生活でも複雑な関係性にあ>>続きを読む

片袖の魚(2021年製作の映画)

4.1

ようやく配信サブスクに追加されて観られた😭

そこに居るのに、いない。深く潜り込んで、出たくないんじゃなくて、出られない。そんな複雑で、繊細な想いを抱えながら、この受難を抜け出さんと願う全ての人に観て
>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.7

轟音は快感だがFRほどのカタルシスは味わえず不完全燃焼、だがそれを狙ってる訳ではない事も分かるので評価が難しい。「マッドマックス2」や「サンダードーム」っぽい雑多なノリと古風なカメラワークを21世紀に>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.0

全体的に様子がおかしい二股略奪ゲーム、ハリウッドの注目俳優を集めてこんなメロドラマ撮っちゃうの最高かよ笑。

代表作「CMBYN」とは趣を全く異にしながらも、とにかくシュールでコミカル、それでいてエキ
>>続きを読む

からかい上手の高木さん(2024年製作の映画)

4.8

クソデカ感情で泣き腫らし果てて死にそうになってる、ありがとう、ありがとうなあ、、、😭🙏🙌✨✨

ドラマ版未見の方はそちらから是非!!

狂乱の日々 デス・ロードの戦い(2017年製作の映画)

4.5

"映画制作=戦争"とはよく言ったもので、あれほどの名作とあっては相応以上の紆余曲折があるものだな。政治経済上の事情から天災、人間同士の対立、私的な問題や死など、映画製作前後で壁になる要素があまりに多過>>続きを読む